事業再構築補助金 申請ガイド

事業再構築補助金
申請ガイド|2023年版

はじめに
事業再構築補助金って本当にお得?

1.本補助金は、絶対にお得

かれこれ10年以上、補助金を扱ってきた経験で言えることは、過去10年間、ここまでお得な補助金はなかったということです。

たいていの経営者にとって、「本格的に新規事業を始める」なんてことは、1千万円近い投資を伴うギャンブルに近いものです。
しかし、本補助金を使えば、その負担が3分の1ぐらいにまで削減できる可能性があり、投資として考えやすくなります。
こんなチャンスは、そうそうありません。

本当に、『新規事業』を始めようと思っている事業者は、本補助金を上手に使えないか、しっかり検討してみるべきです。

2.本補助金は、お得だが、手軽ではない

本補助金は、過去に例がないほど、お得な補助金です。
しかしだからこそ、支給までのハードルも、かなり高くなっています。

  • 事業計画書のレベルも高く、かなり丁寧に作らなければ採択されません。
  • 採択されてから、経費のチェックが始まりますが、見積等を丁寧に取らなければ、交付決定されません。
  • 実績報告の書類のチェックも厳しく、上手く準備できなかった経費は、補助を諦めることになります。

このように、補助金に慣れていない方が、誰のサポート受けずに支給まで至るのは、かなり困難な補助金になっています。

実施、非常にハードルの高い補助金ですので、「お得そうだから申請してみたい」という申請動機では、途中で破綻してしまう可能性が高いです。
「新規事業を、本気で取り組みたい」場合だけ、申請するべき補助金となっています。

一.補助金の基礎知識を知る

1.補助金は原則返済不要

  • よく、「でも、返済が必要なんですよね?」と聞かれますが、補助金は原則返済不要です。
  • 国が、主に中小企業の支援のために、毎年予算を組んで募集している、返済不要の事業資金が『補助金』です。
  • 補助金をもらうデメリットはほとんどないので、申請対象なのに申請しないのは、単純に損かもしれません。

2.補助金は売上が上がっていても申請OK

  • よく、「今期は売上が上がっていて…」とご相談頂くことも多いですが、ご安心ください。『事業再構築補助金』等、一部、例外的に売上が下がっていないと申請できないものがありますが、原則的には売上が上がっていても採択されます
  • 『売上が下がっていないともらえない』のは、『新型コロナ』対策で支給された、『給付金』です。補助金は、『新型コロナ』向けに用意されたわけではありません。『新型コロナ』の感染拡大の前から、ずっと公募され続けていたのです。

3.補助金は給付金とは違う

①『給付金』は、書類が揃えば、必ずもらえる
  • 給付金は、『売上減少』など、条件を満たした事業者が、必要な書類を準備すれば、必ず支給される制度となっています。
  • 例えば、『持続化給付金』の目的は、新型コロナで売上が落ちてしまった事業者に対する、売上の補填でした。そのため、対象者は、申請すれば、必ず給付を受けることができました。
②『補助金』は、書類が揃っても、もらえるとは限らない
  • 補助金は、必要な書類を準備しても、『他社より優れた計画書』を作って、採択されなければ、支給されません。そういう意味で、特権的な制度となっています。
  • 最近の補助金では、申請した事業者の3~6割程度が採択されています。
    ※過去の『小規模事業者持続化補助金』では、採択率が1割程度だったこともありました。

4.補助金はキャッシュバック型

  • 補助金は、経費を使って、それを報告し、認定された分について、後から戻ってくるキャッシュバック型です。
  • 計画申請をして、その締切から2~3か月で採択発表。交付決定を経て半年程度で経費を使い報告。報告が認定されて、初めて入金に至ります。
  • 計画申請から入金までは、長ければ1年程度かかります。経費は先出しになるので、その間の資金調達が重要です。

5.補助金による資金調達

  • 補助金に採択されると、金融機関などから融資が受けやすくなる場合があります。
  • 『補助金が入金されたら返す』というような借り方をすれば、事実上、『補助金の先払い』を受けた状態になります。
  • 中小企業の場合は、信用金庫が借りやすいです。ただし、行けば簡単に借りれるというわけではありません。だいたい皆さん、3~4行は話を聞きに行っています。
  • 担当者が、補助金のことを理解していない場合も少なくありません。補助金のことを理解していて、自社の事業をきちんと考えてくれそうな担当者から、融資を受けるようにしましょう。

二.事業再構築補助金の申請準備

1.補助金の概要資料を確認する

  • 本資料は、『事業再構築補助金』がどういうものなのか、説明したものです。
  • まず重要なのが、16ページからの『補助対象経費』です。これで使いたい経費がなければ、本補助金は申請しても意味がありません。
  • 18~19ページに書かれている『補助対象外事業』も重要です。これに当てはまるお問い合わせも非常に多くなっております。

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2.補助金の指針を確認する

  • 本資料は、『どういう再構築が、補助対象になるか』を説明したものです。
  • まず重要なのが、3ページにある『事業再構築の類型と要件について』です。これを満たす計画になっていなければ、補助対象になりません。
  • 次に重要なのが、『市場の新規性』です。これは、『国内回帰』以外、全て求められている要件です。『世の中における新規性(日本初・世界初)』ではないということがポイントです。
  • その他、再構築した事業の売上高の要件もあります。売上高をどのように考えるかで、申請すべき類型が変わります。適切に判断しなければなりません。

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3.補助金の公募要領を確認する

  • 補助金の公募要領は、申請が完了するまで、何度も見ることになります。スマートフォンなどに保存して、いつでも見れるようにしておきましょう。
  • p14からp28まで、『補助対象事業の要件』が書かれています。自分が申請する類型で求められる条件は、かなり細かいですが、必ずしっかり読み込んでおきましょう。
  • p30には、申請に関するスケジュールが書かれています。第10回は、令和5年6月30日(金)が締め切りで、採択発表は『令和5年8月下旬~9月上旬(予定)』と記載されています。
  • p31からは、補助対象経費について、細かく記載があります。補助対象になるものとならないものを、しっかり判断する必要があります。
  • p41からは、『事業計画書作成における注意事項』が書かれています。計画書の記載内容や、審査項目が書かれていますので、しっかり読んでおく必要があります。
  • p53からは、『ファイル名』に関する指示があります。必要な書類について、適切なファイル名で保存するようにしましょう。

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4.補助金の電子申請アカウントを取得する

  • 公式ページ
    https://gbiz-id.go.jp/top/
  • プライム申請ページ
    https://gbiz-id.go.jp/app/rep/reg/apply/show
  • 『gBizID』には、『一般アカウント』と『プライムアカウント』の2種類のアカウントがあります。補助金の申請は、『プライムアカウント』からしかできないので、『プライムアカウント』を作成しましょう。
  • 入力だけでは登録は完了しません。プリントアウトし、押印・郵送しなければなりません。そのプロセスを忘れないようにしましょう。

三.事業再構築補助金の対象経費

①補助対象経費の全体像
建物費
⇒建設・改修・撤去・原状回復・一時移転のための賃借料 他
機械装置・システム構築費
⇒事業で用いる設備・備品・ソフトウェア等の購入費 他
技術導入費
⇒知的財産権等の取得 他
専門家経費
⇒コンサルティング費・旅費 他
運搬費
⇒運搬料・宅配料・郵送料 他
クラウドサービス利用費
⇒クラウドサービス費・ウェブプラットフォーム費・サーバ利用費 他
外注費
⇒加工・設計・デザイン・検査等の費用 他
知的財産権等関連経費
⇒特許権出願手続代行費用・外国特許出願のための翻訳料 他
広告宣伝・販売促進費
⇒パンフレット・動画・写真撮影・展示会出展・セミナー開催・営業代行 他
研修費
⇒教育訓練費・講座受講費 他
②補助対象外となる経費
  • 不動産、自動車等車両、船舶、航空機等の購入費・修理費・車検費用
    ⇒公道を走らない自動車等は補助対象となる場合がある
  • パソコン、プリンタ、文書作成ソフト、タブレット端末、スマートフォン、デジタル複合機等の購入費
  • 事業に係る自社の人件費、旅費

四.本補助金の計画書の作り方

1.事業再構築補助金の『虎の巻』を熟読する

  • 本資料は、2022年8月に公開され、2023年3月現在、2回の改訂が行われました。本資料が公開されてから、事業再構築補助金の計画書は、飛躍的にレベルが上がりました。
  • 事業計画書に必要な要素としては、最もシンプルにまとまっているのが、p19~20の『事業再構築に向けた事業計画の考え方』と『事業計画書で検討が必要な項目』です。ここに書かれていることは、漏らさず検討するようにしなければなりません。

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2.既に採択された補助金計画書を確認する

補助金採択事例紹介(事業計画書)
  • 事業再構築補助金(第1回)から、2022年採択分まで、全11社分の採択された事業計画書が、補助金事務局から公式に発表されています。
  • 実は、上10社は、『虎の巻』が公表される前に作成された計画書です。そのため、最も参考になるのは最下段にある計画書です。
  • ここで公表されている計画書を、まずは審査員の視点になって、公募要領・虎の巻を参照しながら見てみましょう。そうすれば、採択される計画書に必要な要素が見えてきます。

補助金公式ページ

3.自由な書式で計画書を作成する

補助金計画書のイメージ
  • 計画書の一番簡単な作り方は、事務局が公表している、既に採択された補助金計画書をベースに、必要な情報を付け足していくことです。
  • 一般的な事業計画書・企画書等と異なり、補助金の計画書は、A4縦型で作るのが通常です。
    ※横書きでも採択されているようです。
  • 大切なことは、補助金の審査基準に対して、必要十分な情報を提供することです。公募要領・虎の巻を参照しながら、丁寧に作成しなければなりません。

五.事業再構築補助金申請の際の注意点

1.電子申請に気を付ける

①まずは『電子申請マニュアル』を確認する
  • 電子申請マニュアル(2022年9月30日版)
  • 『事業再構築補助金』の電子申請は、なかなか大変です。初めての方は、1~2日がかりになるかもしれません。ですから、早めに着手したいところです。
  • まずは、『電子申請マニュアル』をダウンロードして、手元に準備しましょう。
②補助金の『売上高等減少要件』を最初に確認
  • まず確認するべきなのは、『売上高等減少要件』です。『売上高等減少要件』は、『3.応募申請者の概要』の部分もあります。
  • 『3.応募申請者の概要』を入力するためには、『1.申請者の概要』及び『2.その他の事業実施場所』の入力を完了しなければなりません。
  • 後から修正できますので、仮にでも入力して、早く『売上高等減少要件』を確認するようにしましょう。
③『B.提出書類添付』まで急いで進む
  • 一番大変なのは、『B.提出書類添付』の部分です。
  • 早めに必要書類等を把握して、準備できるものは準備したいところです。
  • 『B.提出書類添付』は、『7.審査における加点』まで入力を完了しないと、入力できるようになりません。後から修正できますので、上手に仮入力して、早く『B.提出書類添付』を入力できるようにしましょう。
④ミラサポplus『電子申請サポート』を添付する
  • 中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplus』にて、『電子申請サポート』という、決算データを入力したものを作成し、PDF出力した上で、添付しなければなりません。
  • この作成は、なかなかに面倒ですし、時間もかかります。早く準備するようにしなければなりません。
  • 『事業再構築補助金』を申請する方向けに、この書類の準備マニュアルが用意されています。以下からダウンロード可能です。
  • ミラサポplus操作マニュアル』(2022年8月版)

2.申請後も気を付ける

①補助事業の『事前着手申請』をしておく
  • 補助金の『交付決定』前であっても、事務局から『事前着手の承認』を受けた場合、使った経費を、特例として補助対象経費とすることができます。
  • 『事前着手申請』は、『交付決定日』まで申請可能です。事前に実施したものがある場合には、必ず『交付決定日』までに申請しなければなりません。
②『交付申請』は早めに行う
  • 本補助金では、『採択された後』の方が大変です。そのうちの1つが、この『交付申請』です。
  • 『交付申請』は、見積・相見積を揃えて、仮の補助金額を確定する作業です。
  • 『交付申請』の段階で、見積・相見積を依頼する必要があるものの、『交付決定』まで時間がかかるため、そのまま『発注』してよいのかどうかが分かりません。非常に厄介な状況となります。
  • さらに、『補助金のつなぎ融資』をしようと思っている事業者は、『交付申請』に対する『交付決定』が出るまで、『融資』は実行されません。そのため、『交付決定』が出るまで身動きが取れないということになる事業者も少なくありません。
  • 第1回申請分では、4~5か月かかった会社も続出しました。今ではもう少し短縮されているようですが、それでも、何か月やればOKが出るという話ではないので、もっとかかっている会社もあるかもしれません。要注意です。
③『実績報告』を先に理解しておく

  • 上記のように、『事業再構築補助金』で取得した『物』については、『事業再構築補助金で取得した』旨を表示しなければなりません。
  • 本補助金で、様々なものを購入・調達できますが、広告・機械装置などにも、この表示をしなければなりません。
  • これを知らないまま『事前着手』『発注』等してしまうと、最悪の場合、『補助対象外』とされてしまいます。要注意です。

3.実績報告に気を付ける

①『機械装置・システム構築費』のポイント
  • 購入物件ごとの納品前後の写真及び送付伝票の写真を撮影する。
  • 補助対象物件及び付属品に「R2 事業再構築」の表示を行う(シール、マジック等)。
②『外注費』のポイント
  • 契約書を整備する。
  • 試作品、加工品の加工前後の写真及び授受した際の送付伝票の写真を撮る。
  • 補助対象物件に、「R2 事業再構築」の表示を行う(シール、マジック等)。
③『広告宣伝・販売促進費』のポイント
  • 広告等の補助対象物件には、必ず「令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成」の表示をいれる。
    ※ポスター・チラシ等「配布物」の補助対象物件にも、必ず「令和2年度第 3 次補正 事業再構築補助金により作成」の表示をいれる。また表示されている証憑として写真を撮って報告する。
  • 「消耗品」「配布物」として使用する場合は、「補助対象物件受払簿」<参考様式4>を整備する。また、事業実施期間内で実際に使用した数量分のみ補助対象となり、購入金額から購入数量と使用数量で按分した金額が補助対象経費となる。
④『建物費』のポイント
  • 建物の建設前後、改修前後等の写真を撮影する。
  • 補助対象物件に「R2 事業再構築」の表示を行う。
☑ 以下のような書類の添付が必要
  • 見積取得のための仕様書(見積依頼時の図面等)
  • 見積書、相見積書
    ※2者未満の場合は業者選定理由書〈参考様式7〉、及び妥当性を示
    す書類。
  • 注文書(発注書)及び注文請書または工事請負契約書
  • 納品書・完了報告書
  • 検収書
  • 請求書、
  • 銀行振込受領書(及び領収書(存在する場合))
  • 完成後の図面
  • 完成後の工事費内訳書
☑ 補足的な添付書類
  • 加えて、抵当権設定契約書、設計図書、建築確認申請書、検査済書、工事写真、作業工程表、社内決裁資料、入出金伝票等・総勘定元帳、通帳の写し・固定資産台帳(建物取得費が固定資産計上されていることがわかるもの)等を求められる場合がある。
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